質の高い漁師になって魚を食べる人を増やしたい、魚の魅力を伝える人を増やしたい。[かずなり@漁tuber/秋田県にかほ市]

2023.04.02

生産者とのつながり vol. 1

かずなり@漁tuber

秋田県にかほ市象潟町

かずなり@漁tuber

【つながり 〜通年の鮮魚〜】
秋田県にかほ市で定置網と素潜り漁してます。漁師歴10年目。前職は神奈川のデパ地下で魚屋。秋田の海の幸と映像をお届け!仕事で大好きな魚を獲れて幸せ。今年はお魚捌き教室を開催!魚の魅力を伝えます。魚好きは大体トモダチ。秋田の魚食べようぜ!
https://linktr.ee/kznr0919

漁師になろうと思ったきっかけは?

小さい頃から、漁師をしている父が憧れの存在でした。一家の大黒柱を家族が立てて、その大黒柱が家族を引っ張っていく、古き良き時代の家族像みたいな家庭で。
個人でも船を出して釣りに行き、大漁してくれば家族総出で手伝って、僕も小さいながらに手伝っていました。その頃から漁師ってかっこいいなと思っていて、物心がついた頃にはもう漁師になりたいと思っていました。
保育園くらいの時は将来の夢は「忍者になりたい」とか書いてましたけど(笑)。

末子長男だというのもあり、周りからも将来は漁師になるだろうというプレッシャーをかけられていましたし、漁師を継ぐのが当たり前なのかなという気もしていました。
夏になると牡蠣漁の手伝いには必ず行っていて、中学生にもなると力もついてきて少しずつ周りに頼りにされるようになり、漁師になりたい気持ちがますます大きくなりました。
でも、その気持ちとは裏腹に、父には漁師になる事を反対されていました。

中学校卒業の時点で「漁師になりたい!」と言ってみるものの「漁師にはなるな、高校に行け!」と。高校を卒業する時もう一度漁師になりたいと言ってみたのですが、また「駄目だ」の繰り返しで(笑)、それで、おとなしく大学に進学しました。
きっと父は、これからの水産業を見据え、魚価が下がっていき魚も獲れなくなってきている状況を分かっていて、息子には辛い思いをさせたくないという親心もあったと思いますし、もっと違う外の世界を見てほしい、広い視野を持ってほしいという考えもあったんでしょうね。

大学を卒業してからは、やはり最終的には漁師になりたかったので、それに繋がる仕事をしておきたくて水産関係に進み、消費者と直接つながる職種が自分には合っているのかなと思い鮮魚店に勤めました。父には「漁師にはなるな」と言われていたけど、その頃から勝手に漁師になる為の下積みを始めていました(笑)。

魚をさばくのも覚えたかったし、鮮魚店の流通のシステム等も見たかったし、どうやってお客様の手元に届くのかという所まで気になっていたので。しかし、あともう1年鮮魚店で働いていれば全体をつかめるかなと思っていた矢先、急に父が病気で他界してしまいまして…。

最後まで直接父の口からは漁師になってもいいという言葉はもらえなかったのですが、父の意識がなくなる直前に、今の親方に「一成を下に付けるように」と言っていたようです。
もしかすると本当はいつかは継がせたかったけど、人生経験をもっと積んで欲しいという意味で、まだ駄目だって言い続けていたのかなと今は思います。

漁師になってみて初めて分かったことや大変だっことは?

父は定置網漁法で魚を獲っていたという事を自分が漁師になって初めて知りました。
ずっと漁師の父に憧れて、水揚げされた魚の仕分けや箱詰め等の手伝いをしていましたが、父が魚を獲っている姿は一度も見たことがないことに気が付きました。実際どんな仕事をしていたかも知らなかったんだなって。

大変だったことは船酔いがすごく辛かったです、一度海に出たら何時間も陸に戻れないし。
あと、乗組員の人たちとのコミュニケーションですね。父を介してどんな人が乗っているかは間接的には知っていたけど、直接どんな人たちなのか知らなかったので、どうコミュニケーションを取ればいいのか分からず苦労しました。
だけど、父の息子ってだけでみんなすごく可愛がってくれて。父は自分のことだけでは無く周りのことも考えてくれる、みんなから好かれる人だったんだなって分かりました。僕の居場所もきちんと作ってくれてたんだなって感じました。

どんな魚が獲れますか?

季節によって仕掛けた網に入ってくる魚が変わります。
春はサクラマス、夏はイワガキやモズクを素潜りで獲ります。あとは底建網という網を入れているので、アジを獲ったり、秋には鮭と鮭にまぎれ込んでくるヒラメ等を獲り、12月には季節ハタハタを獲り、年をまたいで冬はヤリイカや真鱈を獲るという感じで、1年を通して獲れる魚種が変わっていくのが面白いです。

漁師としてのこだわりは?

自分が獲った魚を使ってくれる人が、しっかり利益を得られるような魚を提供したいと思っています。
きちんと分かって、きちんと扱ってくれる人に渡したら喜んでもらえるし、そこで価値がつく。

獲った魚に良い処理をすることで鮮度を保てるのであれば、鮮度を保った分だけその魚を買った人は長く楽しめるし、その分おいしく食べられると思うので、丁寧に処理することをすごく意識しています。見えないところで、自分のポリシーをどう持ってやっていくかということを一番大事にしています。

そして自分のこだわりを分かってくれる、信頼できる人に魚を扱ってもらいたいと思っています。やはり、飲食店の人が高い意識を持って魚を提供してくれると、私たちのモチベーションも上がり、漁港全体がもっと盛り上がると思うので。

今後の展望は?

まずは小さい規模ではありますが、秋田県の漁師の中でのトップランナーにならないといけないと思っています。秋田の漁師と言えば一成と言われるくらいになりたいし、日本中の人に一成の魚を食べたいと思ってもらえる存在になりたいです。

そしてそれは、日本に魚の良い文化を広めるということに繋がると思います。そのためにも、魚を獲るところから食べるところまでをきちんと伝えられる人にならないといけない。自分たちが質の高い漁師になり、魚の魅力を伝える人を増やし、魚を食べる人を今よりもっと増やしたいです。

最後に、今後のレメデニカホに期待することは?

今の時点で僕の期待の上をいっていますので、僕の中ではもう100 点ですね(笑)。本当に、にかほ市に来てくれてよかったなと思っていますし、巡り合わせてくれた方にも感謝しています。

レストランで提供するとき、これは一成君の魚ですよって実際にお客さんに教えてくれているんですよね。僕のオンラインショップで魚を買ってくれた方に「あっ、レメデで聞いたあの漁師さんだ!」と言ってもらえて。僕の人柄や想いも伝えてくれているんだなって、すごく嬉しかったです。
この関係性をずっと続けていけたらいいなと思っています。

Interview&Text:KENICHI WATANABE, KIYOKA MURAKAMI(Remède nikaho)
Photograph:YASUFUMI ITO(Creative Peg Works)
Produce:TEPPEI HORII(PILE inc.)

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