コミュニケーションを取りながらコーヒーを淹れられるこの距離感が丁度いい。おじいちゃんになってもコーヒー屋さんをやっていたい。[FOG coffee/秋田県大仙市大曲]

生産者とのつながり vol. 5

秋田県大仙市大曲

​FOG coffee 佐々木遊

【つながり 〜自家焙煎コーヒー〜】
花火の街大曲で自家焙煎コーヒー店を営んでいます。
コーヒーは産地や焙煎、淹れ方などにより様々な味わいがあります。たくさんのコーヒーから、お客様の好みにぴったり合うおいしいコーヒー、楽しい発見につながるコーヒーをご紹介できたら最高だと思っています。
https://www.instagram.com/fog_coffee/
https://fogcoffee.thebase.in/

自家焙煎コーヒー店を始めたきっかけは?

両親がすごくコーヒーが好きな人で、事あるごとにコーヒーを飲む家庭で育ちました。
特別いい豆なわけではなかったそうですが、小さい頃から姉と僕のどちらかがミルを抑え、どちらかが豆を挽いて、ということをしていて、いつもテーブルの真ん中にはコーヒーがたっぷり入った水筒が置かれていて、常に身近にある飲み物でした。

コーヒーを淹れるのも好きで、全て自分でやり始めたのは高校卒業する前くらいからだったと思います。20歳の頃、コーヒーを淹れる前の段階で豆の焙煎というものを自分でできることを知り、専門書を購入し見よう見まねで焙煎していました。

その頃、以前より通っていた大曲のカフェバーで仕事をさせていただくこととなり、コーヒーを淹れる仕事を任せてもらい、あとは料理の仕込みのお手伝いや、バーテンダーの業務を教わりました。氷の仕込みやバースプーンの使い方など、そこで教わったことが、現在のアイスコーヒーを淹れる際に活かされています。

カフェバーを辞めた後、水泳のインストラクターの仕事に就くのですが、最初は監視員だと思って就職したらインストラクターの仕事で(笑)。そんなに泳ぎが得意だったわけでもなかったのですが、その年がちょうど東日本大震災の年で、スクールの再開まで結構時間があったのでその間に猛練習してインストラクターになれるくらいまでの技術を習得しました。
子供の水泳や年配の方の水中運動なども教えていたので、様々な世代の方と話す機会が多く、そのおかげでコミュニケーション力がつき、わりと誰とでも話せるようになったのも大切な経験となりました。

25歳の頃、他業種で働きながらも、並行して趣味でコーヒーの焙煎を続けていく中、やはり料理やコーヒーへの熱が大きくなり、飲食の仕事に戻りたいなと思い始めていました。どこかのお店でコーヒーの修業ができればとも思いましたが、近くにはそういうお店がなく、それならば自分でやってみようと思ったのがきっかけです。

そんな話を親しい方に相談していたら、現在の店の場所を紹介してくれて、店内の規模感もこの通り、少し始めてみるという最初のお店にはちょうど良さそうなサイズで、家賃も抑えてくれるということでここで店を始めてみました。
豆の焙煎に関してはずっと行っていましたが、ただのコーヒーマニアが趣味でやっていたようなものでしたので、開業したての頃のコーヒーはどうだったのだろう、美味しくないものを出してしまっていたのではないか、と今でも思う時はあります。

趣味ではなく、仕事としてやり始めて分かったことや感じたことは?

最初の頃は、自分が美味しいと思う通りに焙煎して自分が美味しいと思ったコーヒーを淹れて出していたのですが、お客さんの好みで美味しいか美味しくないかが決まるということ。コーヒーの好みも人それぞれにきちんとあるということに気付きました。

店で扱う豆の種類においても、新しい品種を次々と焙煎するよりも、もっと多くの方が好みそうな安心できる定番の豆を置き、たまに少し冒険した味の豆をお勧めできれば、お客さんにより喜んでもらえるのではないかと思ってやっています。

大変なことは?

一番時間が掛かるのが、ハンドピックという欠点豆を取り除く作業です。
中には虫食いの豆や未成熟の豆、割れ豆などがあるので、そういうのを1個ずつ全部チェックして取り除いていきます。焙煎前後にチェックをしているのですが、膨大な量で全く終わらないので、今は家族にも作業を手伝ってもらっています。欠点豆が入っていると味に雑味が出るだけでなく、胸やけを起こす原因にもなるので。

欠点豆の味を理解しているつもりでも、その味を忘れないように、たまにこの欠点豆だけでコーヒーを淹れて味を確かめています。
ちなみにハンドピックではじかれた豆は今までは捨てていたのですが、畑の肥料や臭い消しに使ってくれる方達との繋がりができて、今は一粒も捨てていません。

仕事に対してのこだわりは?

できるだけ自分の感覚で美味しいと感じたものを選んでもらえたら良いなと思っているので、来店されたお客さんにあまりコーヒーの説明をしすぎないようにしています。
僕があれこれ話してしまうと、豆の品種や値段などの先入観が入る可能性があるので、概念に囚われず、様々なコーヒーを味わっていただき、自分の好みの品種や味と出会い、自分の好みを知ることに繋がる。コーヒーの面白さはそういう所かなと思っています。
ですので、今はお勧めはどちらですかと聞かれても、できるだけその方の好みのコーヒーに当たるように誘導しています。質問に質問で返すのはよくないと分かっていつつも結構しつこく質問して(笑)。


あと、前の質問でもお話しましたが、欠点豆の選別をしないと絶対に出さないというのもこだわりの一つです。豆も農産物なので、いい年もあればあまり良くない年もあり、欠点豆を取り除くだけではどうにもならない年もありますが、そういう時は焙煎や淹れ方で調整したりして、できるだけ美味しく提供できるようにしています。

今後の展望は?

店を始めた時は、徐々に大きくしていこうと思っていたのですが、今はその気持ちがあまりなくなりました。今年で8年目ですが、このままでいいかなと思っています。
もしもお店の広さが変わったとしても、コミュニケーションを取りながらコーヒーを淹れられるこの距離感を大切にしていきたいですね。
おじいちゃんになっても、変わらずこんなコーヒー屋をやっていたいです。

最後に、今後のレメデニカホに期待することは?

この間、「ゴ・エ・ミヨ」という本に掲載されたという話を聞き、大家さんやいろいろな方に「うちのコーヒーを使ってもらっているんです!」と自慢していました。レメデさんにはずっとうちのコーヒーを使っていただきたいですし、地元の人との繋がりをすごく大事にされているなと思うので、僕もその仲間に入れて欲しいです(笑)。

レメデさんでうちのコーヒーを飲んだというお客さんがたくさん来店してくださいます。そんな風に繋がりが増えていくのもすごく嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします!

Interview&Text:KENICHI WATANABE, KIYOKA MURAKAMI(Remède nikaho)
Photograph:YASUFUMI ITO(Creative Peg Works)
Produce:TEPPEI HORII(PILE inc.)

SHARE with

ONLINE STORE

オンリーワンの仙台をつくる!沼沢しんや
BUY VIEW MORE