様々な加工ができる皮革の可能性は無限大。樺細工とのコラボ商品等、地元秋田を発信できるものを作りたい。[革工房 knc Leather Factory/秋田県にかほ市]

生産者とのつながり vol. 4

秋田県にかほ市

​木内 正信(革工房 knc Leather Factory)

【つながり 〜メニューカバー〜】
レザー職人 秋田で革製品を作っている革工房knc Leather Factoryです。革小物からバッグ、またシルバー製品などをハンドメイドで仕上げております。ハンバーガーを中心とした飲食店も併設。
http://www.knc-lf.com/
https://www.instagram.com/knc_leather_factory/

この仕事を始めたきっかけは?

10代の頃から、紐を編んで当時流行っていたヘンプアクセサリーを作ったり、布を縫って小さな鞄を作ったり、もともと手先が器用だったのでいろいろなものを作っていました。
21か22歳の頃、携帯電話の機種変更をした時、その携帯電話のケースが欲しくて自分で作ろうと思い、皮革に特別興味があった訳ではなかったのですが、なんとなく皮革の素材を手に取ったのがきっかけです。

しかし、皮革を手に入れたものの、道具もなければ、インターネット上で今ほど情報収集ができるような時代でもなかったので、手探り状態で作った携帯ケースの出来栄えがひどすぎて。悔しくて、もっといいものを作りたい、もっと技術を高めたいと思いこの世界に進みました。

一度は別の仕事に就きましたが、趣味で携帯ケースなどの革製品を作り続けていた所、よく行く古着屋の店長さんが、「ウチの店に商品を置いていいよ」と、委託販売してくれることになりました。
1年程経った頃、その店が閉店するということで、店長さんから「ウチのレジやショーケースなど全部使っていいから自分でお店をやってみたら?」と勧められて。
当時、自分の店を出すなんて全く考えていなかったのですが、その言葉が契機となり、店の場所を探すところから始まり場所が決まり次第すぐに開業しました。今考えると、皮革を始めてから1~2年のあの技術でよく店を始める決断をしたなと思います(笑)。

趣味ではなく、仕事としてやり始めて大変だったこと感じたことは?

自分の好きなものだけを作れないということにすごく葛藤しました。
お客さんのオーダーを受けた時、要望には応えてあげたいけれど、こうしたら使いにくいですよ、もっとこうしたら良くなりますよ、などアドバイスはしますが、最後はお客さんの良きとするものを作り届けなければならない。
極端に言うと、作りたくないものを作らなければいけない時もあるということ。自分でなくてもいいのでは?と思ったこともありましたが、門前払いするような度胸もないし、何よりも来てくれるだけでもありがたかったので引き受けていました。

この葛藤のおかげで、今ではお客さんにリクエストをいただいて、自分のアイデアや考えも全てきちんと伝え、プラスアルファの提案でお客さんの期待を越えるものを作れるようになりました。

デザインや実用性なども考えると、世の中に革製品はもう出尽くしているので、その中でどのように自分らしい作品を確立していけば良いだろうということを日々考えていました。

技術にゴールは無く、いくらでも勉強できるので常に何かを作り続け、自分なりに勉強をし考え続けています。

皮革職人としてのこだわりは?

自分が格好いいと思えるものを作りたいと考えています。
昔作ったものも、その技術は拙いけれどデザインは良いと思えるものはあります。それこそ、10代の頃に作っていたものもまだ持っていますが、今見返してもかっこいいなと感じるし、その頃から自分の中の感覚の軸は揺るぎないのかなと思います。

今の時代は、何でも情報を仕入れられるので自分をしっかり持っていないと流されてしまう。あれ格好良いから真似しようとか、これとこれの良いとこ取りしようとか。きっとそのようなことをしていると、後から自分の首をしめてしまう、自分のデザインとは一体何だろうと思い迷うことになってしまうのではないか思うと怖いです。
僕は独学で全部やってきたのですが、それはよかったなと思っていて。教室に通うのも良いですが、最初から正解しか教えてくれないので、デザインも似たり寄ったりになったり、イレギュラーな依頼があった時に対応できなかったりするのではないかと思います。例えば、お客さんから既製品の修理のオーダーをいただいた時も、作りを見れば「あぁ、ここがこうだな」と分かるので、だいたいのものに対応できるのが強みとなっています。

それと、できるだけお客さんからの難しい要望やリクエストにも応えるようにしています。そのせいで自分を苦しめている時もありますが(笑)。
出来上がったものを見てもらう時は今でも毎回ドキドキしますが、「わぁ!すごい!」と喜んでもらえるものを作りたいです。

今後の展望は?

樺細工とのコラボ商品等、地元秋田を発信できるものを作りたいという想いがあります。様々な加工ができる皮革の可能性は無限大です。伝統工芸品と皮革を合わせることで、「かっこいい!欲しい!」と思ってもらえるものを完成させたい。そういう風に思ってもらえると、自分の感覚は間違ってなかったと自信がつきますし、やりがいを感じられます。

対面でのオーダーが大事だと感じるのもそれと同じで、今はネット社会なのでWebからも注文は来ますが、顔が見えない分、言われたものは作れるけれど直接声を聞くことができないのに対し、対面で直接意見を聞き、オーダーを進めていくのは反応や感想を聞けるのでモチベーションも上がり、それを使う人がワクワクできるようなものを作り続けられると思っています。

最後に、今後のレメデニカホに期待することは?

SNSを見ていると、色々新しいことやっていて益々露出が増えて近寄りがたく思っていました(笑)。
今までこの辺りにはあまり情報発信する人がいなかったので、小さなコミュニティでしかなく分からなかったこともたくさんありましたが、このように発信してくれると、にかほにはこんなものもあるんだということを知るきっかけになり、そのきっかけが増えるほど魅力的な場所だということが伝わっていくと思います。

発信し露出をすることで、若い世代の方たちに対しても、にかほにいてもこんなに楽しいことができるということを伝え、県外に出ていかない、出て行っても戻ってくるように、もっと周りのみんなを巻き込んで一緒ににかほの魅力を発信して夢と希望を与えていきましょう!

Interview&Text:KENICHI WATANABE, KIYOKA MURAKAMI(Remède nikaho)
Photograph:YASUFUMI ITO(Creative Peg Works)
Produce:TEPPEI HORII(PILE inc.)

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