こだわりを持って本物の味を伝え続けていれば、ずっと三種町のじゅんさいのブランドを維持できると思います。[じゅんさい次郎/秋田県三種町]

生産者とのつながり vol. 8

秋田県三種町

​じゅんさい次郎(安藤食品)

【つながり 〜じゅんさい〜】
じゅんさいの町、秋田県三種町生まれ。
3年ほどニート状態のところを同級生のじゅんさい太郎に捕獲され、じゅんさいに関わるようになって十数年。
今ではすっかりじゅんさいの沼にはまっている。
全日本蓴菜研究会会員。
https://www.instagram.com/junsai_jiro
https://twitter.com/Junsai_Jiro
https://andofoods.com

この仕事に就いたきっかけは?

祖父もじゅんさい採りをしていて、小さい頃から学校帰りに祖父の沼に遊びに行って採ったりしてたので、じゅんさいはずっと身近なものでした。
たまたま安藤食品の息子が同級生で、その彼に声をかけてもらってここで働き始めました。14~15年くらいになりますかね。

最初は、繁忙期に手伝う程度でしたが、そうしているうちにその彼からネット販売もしてみたいと相談されて。昔、趣味でインターネットの本を見たり、Webデザインのアプリとかを独学で触ったりしたことがあったので、それじゃあやってみようという事になりネット販売の方にも携わるようになりました。

カメラも昔から趣味でやっていたので、ホームページを作るのに必要だなと思って一眼レフを買って、美味しそうと感じてもらえるじゅんさいの写真を撮りまくっています。じゅんさいの料理を作っては写真を撮って。多分、この世で一番じゅんさいの写真を撮っているんじゃないですかね(笑)。
 
そうしていくうちに、いろんな人がいろんな方面でじゅんさいのことを話してくれるのを聞くと「秋田=じゅんさい」のイメージも今では徐々に広まってきている感じがして楽しいですね。

この仕事に就いてみて思ったことや感じたことは?

やはり毎日じゅんさいを収穫してくれる人たちは大変だろうなと、本当に感謝しています。採り手も減ってきているので、人手を確保するのもなかなか容易ではありません。

他の農産物もそうなんですが、じゅんさいは特に、採るのは全て手作業で行わなければなりません。将来的には機械化……ということも考えましたが、じゅんさい農家も作付面積も少ないので、そのために大規模な機械開発もできないだろうし。しかし、この作業を機械化ができないからこそ、ここはじゅんさいの産地として生き延びてきたんだと思いますし、それによって生まれた価値もあると考えます。

これからもっと収穫量が減っていくとそれに伴って値段も上がっていく。そうなった時、大手企業が高価な「じゅんさい」という食材に目をつけて、水耕栽培工場とかじゅんさいの養殖を始めたりするのではないかと、もしそうなったら三種町のじゅんさいは滅亡してしまうのではないかとひそかに恐れています。

他の野菜が大量生産という道を通っても尚、やはり本物の味を求める人がいるという真実にたどり着いたように、三種町のじゅんさいも、さらにこだわりを持って本物の味を伝え続けていければ、そんな未来がたとえ来たとしても、ずっと三種町のじゅんさいのブランドは維持できると思います。

日本一のじゅんさい産地

たっぷりのゼリーに覆われた1〜1.5cmの若芽の方が美味しいんですよね。
じゅんさいの産地は全国に他にもあるんですが、他県の商品をみてもゼリーが少なかったり大きさもまちまちだったりするものもある。そういうのと比べると、三種町のじゅんさいはものすごくいいものだなと思います。

というのも自分、じゅんさい次郎というアカウント名で、じゅんさいのエゴサーチをめちゃくちゃしていて(笑)。状態がいいじゅんさいの写真をみると、これはどこのじゅんさいだ!?やばいな、と思ってちょっと焦ってみたり(笑)。

じゅんさい料理の投稿もほぼ全て見ているんじゃないですかね。SNSでじゅんさい関連の記事を投稿すると必ずと言っていいほどじゅんさい次郎がいいね、しに行きます(笑)。

じゅんさい愛にあふれてますね(笑)。

ひと話題になればと思って、オリジナルTシャツを作ったり、友人でもある「じゅんさい工作舎」が作るじゅんさいブローチをつけたりしています(笑)。
あと、三種町でじゅんさい採りの世界選手権を毎年開催しているんですけど、山形では全日本大会っていうのがあって、また、福島では6時間耐久じゅんさい摘み選手権大会というのも開催されていて。
自分の中ではこれらを三大大会と呼んでいるんですけどね(笑)。

昨年、「アイラブじゅんさい」や「じゅんさい日本一」のTシャツを着て、山形の全日本大会に乗り込む気満々で用意していたのですが、ちょうど秋田が洪水に見舞われた日だったので行けなかったんですよ。また次のチャンスに行こうと思っていますが、全日本選手権側の選手や優勝者も同じように、うちの世界大会に殴り込みに来て欲しい!三冠制覇したー!とかやりたい!(笑)。

そういった活動や情報を地道にたくさん発信していって、面白いなと思ってもらって。それで、実際収穫したり触れたりすると、もっと価値や美味しさを知ってもらえたりするだろうから、みんなでもっと盛り上げていきたいなって思っています。
じゅんさい次郎は、じゅんさいのPR大使的な存在で活動しています。

じゅんさいの可能性を探る

じゅんさいって、家で食べる食材というよりは、飲食店の人に使っていただく食材なのかなと思っているので、そのじゅんさいをどうやって多くの飲食店の人に使ってもらうかというのがこれからの課題だなと思っています。和食屋さんではそれなりに使ってくれてる店はありますが、それ以外のジャンルの店にはあまり知られてなかったり。

じゅんさいって料理に使うのは意外と難しい食材なのかな。シンプルにポン酢かけて食べるのが美味しい食材というか。じゅんさい自体ゼリーに覆われているので味も入りづらいし。
なので、スープや出汁などといっしょに口に入れてもらったり、ちょっと料理に食感を足すときに使うというものになりがちで。

季節感含めて、好奇心を刺激するような食材でなければダメなんだと。見せ方にもこだわって料理人の創作意欲を刺激するような情報発信をしたいと思って色々研究しています。

最後に、今後のレメデニカホに期待することは?

にかほって秋田の端っこですもんね、すごい場所での挑戦ですよね。正直最初はこんなところでーと驚きはありました。
でも料理も建物も素晴らしいし、あそこまでレメデさんの料理を求めて色々なところから旅人も集まるだろうと思うので、ここに来たから食べられる、秋田を伝える料理というものをずっと提供し続けていて欲しいです。

Interview&Text:KENICHI WATANABE, KIYOKA MURAKAMI(Remède nikaho)
Photograph:YASUFUMI ITO(Creative Peg Works)
Produce:TEPPEI HORII(PILE inc.)

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